放置された神棚
un unattendeded Shinto altar
撮影・編集・音楽 : 清水玲
(神山アーティスト・イン・レジデンス2023)













神山アーティスト・イン・レジデンス2023にて制作した映像作品。
招聘作家に用意される宿舎には、神棚と思われる戸棚がキッチンに設えられていた。どう見ても神棚なので日本人作家の多くは何も置くことができずに放置してしまうという。作家(清水)もまた同じように神棚と思われるその棚には何も置けないまま生活する。
滞在中に作家自身(清水)が、神山町を中心とした徳島県内各地に伝わる神話や伝承を頼りに、古い神社や遺跡、古墳、鉱山跡地などを訪ねて回るうちに「あること」に気付く。
その気づきの過程が、宿舎にある「放置された神棚」に焦点をあてて表現されている。
徳島には剣山の秘宝、平家の落人伝説、神代文字、邪馬臺国(邪馬台国)阿波説など、様々な伝承が数多くある。
不思議なことに徳島県内には、巨石そのもの、あるいは無数の青石を積んだだけの形態をした古代の祭祀・崇拝形式の遺構が数多く残り、大陸から伝来した仏教と和合しながら形成されていった神社の建築形式の変遷を辿ることができる。そしてそれら神社の多くが、平安時代に編纂された延喜式神明帳に記載されており、記紀神話に登場する神々と連続的に繋がっていて、そしてさらに全国各地の有名神社の元宮とされる神社が揃っている。
剣山系の湧水が豊富な急峻な山々に棲みついた人々と、山々の恩恵をもたらす吉野川、鮎喰川、那賀川とその支流沿いに棲みついた人々との衝突、交渉、協働。その「かたち」は、徐々に蓄積し、混ざりあい、和合しながら、ゆるやかに、ときに激しく揺さぶられながら、現在までつながっている。
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